ストーリー

古き良き日本映画のたたずまいを彷彿とさせる名作が誕生
売れない映画監督タカシ。
四十路前の崖っぷち男に、幸せは訪れるのか・・?

  渡辺タカシ(渋川清彦)は売れない映画監督。現在は妻子と別居中。ガンで入院していた兄マサル(光石研)の看病という口実のもと実家に舞い戻っていた。日課は地元の神社にお参りすることと、主婦のように買い物をし、兄のために夕飯を作ること。そして、これまた売れないシナリオライターで地元の悪友・藤村(岡田浩暉)の焼きまんじゅう屋で起死回生のシナリオ作りをする毎日。新作映画の企画が成立すれば、妻(渡辺真起子)とヨリが戻せると信じているのだ。だが藤村にはどうにも本気感が見られない。どうやら新しく出来た彼女に夢中らしい。

  ある日、藤村がタカシに女の人を紹介したいと言ってくる。紹介された涼子(河井青葉)は、なかなかの美人で性格も良さそうだ。涼子のような女性と兄が付き合ってくれたらどんなに安心かと考えたタカシは、頻繁に会うようになる。ところが涼子はタカシに対し本気になっている様子…。

  そんなとき、別居中の妻から離婚したいとの申し出を受ける。焦ったタカシは何とか妻の気持ちをつなぎとめようと映画の企画に必死になるがうまくいかず、それどころか涼子の前で酔っ払ってついポロっと独身ではないことを言ってしまう。

  タカシに幸せは訪れるのか…。

イントロダクション

大崎章監督「キャッチボール屋」×足立紳「百円の恋」
渋川清彦をはじめ、群馬出身のキャスト・スタッフが贈る、愛すべき男たちの物語。

  長年名助監督として日本の映画界を支え、今をときめく俳優たちがこぞって出演を熱望する大崎章監督が、2005年『キャッチボール屋』以来10年ぶりとなる新作映画を撮り上げた。脚本は『百円の恋』で第一回松田優作賞を受賞し、大ブレイクを果たした盟友・足立紳。

  大崎監督の分身ともいえる主演のタカシ役に『ポルノスター』でデビュー後『Play Back』『そして泥船はゆく』等数々の映像作品に出演、近年は若手監督に愛され出演オファーが絶えない個性派俳優・渋川清彦。その兄役に『あぜ道のダンディ』『共喰い』等、日本映画に欠かせない名俳優・光石研、他に渡辺真起子、田中要次、河井青葉、親友役に前橋出身の岡田浩暉など実力派が揃った。また、大崎と渋川の故郷でもある群馬でオールロケを行ない、地元の方々のバックアップのもと記念碑的な作品が完成した。

  不惑の年を前にして未だに迷い日々もがき、女たちに振り回されながら、映画監督として再起をはかる男の姿を優しく描き出す。全編モノクロームの映像で贈る、愛すべきオトナたちの再生物語。